長谷川農場長指南!!令和元年のおいしい米づくり - 1

長谷川農場長指南!!令和元年のおいしい米づくり

第1回目の内容

  1. 2019年の稲作り 令和元年によい米を!
  2. 4月、5月の気象状況
  3. 2019年5月の生育状況について
  4. 水管理は稲の生育とコントロ―ルする重要な作業!
  5. 【注意】アオミドロ等の緑藻類の発生

♦1 2019年の稲作り 令和元年によい米を!
もう一度見直そう水管理、土づくり

もう一度見直そう水管理、土づくり

平成30年度産米において、日本穀物検定協会が実施する食味ランキングで、福井米は特Aを獲得しました。コシヒカリが7年連続、いちほまれはが2年連続の獲得です。ただし、あきさかり、ハナエチゼンは、特AからAという残念な結果になりました。

米の消費減退に加え、大きな政策転換により産地間競争が激化するなか、全国では、新品種の育成や業務用の多収品種など多様な取り組みが実践されています。

今後は、高温化など不順な天候に対応した優良な初期分げつの確保、適期中干しで遅発分げつを抑え穂揃いの良い草姿に誘導し、気象変動に左右されない稲作り、水管理・土づくりになどに気をつけて、昨年以上の収量・品質をめざし頑張りましょう。

2019.5.15 坂井農場田植え写真

♦2 4月、5月の気象状況

高気圧に覆われ晴れや薄曇りの日もありましたが、低気圧や寒気の影響で、雨や曇りの日が多くなりました。平均気温(12.0度)は、平年(12.8度)より低く、日照時間、降水量は平年並みとなりました。

5月上旬

高気圧に覆われ晴れた日が多くなりましたが、低気圧や前線の影響で雨や雷雨となった日もありました。平均気温(16.2度)は、平年(16.8度)より低く、日照時間(156%)は多くありましたが、降水量(44%)は少なくなりました。

5月中旬

全般に高気圧に覆われ晴れた日が多くなりましたが、低気圧や前線の影響で雨や雷雨となった日もありました。平均気温(20.4度)は、平年(17.3度)とかなり高く、日照時間(170%)もかなり多め、降水量(28%)は少なくなりました。5月18~21日に強風が続きました。

♦3 2019年5月の生育状況について

5月の低温や5月18日からの強風の影響により、コシヒカリ、あきさかり等の活着が遅れ、分げつの確保もやや遅れています。全体的には、草丈やや短めで分げつ数はやや少ない月です。早期に茎数を確保するため浅水管理を行ってください。また、高温、雨が少ないことから、藻類が多発している圃場がみられます。

県下各地域の生育調査結果(令和元年5月30日)

福井県農業試験場

ハナエチゼン(5/2)、コシヒカリ(5/20)直播(5/10)、あきさかり(5/2)

草丈cm、茎数本/m²

区分 草丈 平年 茎数 平年 葉齢 平年 葉色 平年
ハナ 22.2 24.8 265 303 7.4 7.0 4.5 4.8
コシ 20.2 22.0 84 100 4.5 4.4 3.8 3.6
直播コシ 20.1 16.7 112 287 3.8 3.4 3.7 3.7
あき 23.6 24.9 293 305 7.5 7.0 4.5 4.6

坂井農場

ハナエチゼン(5/2)、コシヒカリ(5/15)直播(5/7)、あきさかり(5/15)

草丈cm、茎数本/m²

区分 草丈 平年 茎数 平年 葉齢 平年 葉色 平年
ハナ 25.4 25.2 169 236 6.5 6.4 4.5 5.0
コシ 26.2 24.0 88 106 4.6 4.6 3.8 4.0
直播コシ 15.7 18.3 109 141 3.3 3.8 3.6 3.8
あき 22.2 20.3 81 96 4.7 4.4 3.7 3.8

現地圃場平均

ハナエチゼン(5/1)、コシヒカリ(5/16)直播(4/30)、あきさかり(5/10)

草丈cm、茎数本/m²

区分 草丈 平年 茎数 平年 葉齢 平年 葉色 平年
ハナ 23.7 23.2 171 192 6.8 6.0 4.7 4.5
コシ 20.0 20.4 74 92 4.2 4.2 3.6 3.6
直播コシ 17.7 18.8 133 122 3.9 3.7 3.9 3.9
あき 17.1 21.6 54 123 3.4 5.5 3.7 4.4

♦4 今後の対策

深水管理により圃場によっては、水没苗や軟弱徒長の傾向がみられるが浅水管理に気を配りましょう。目標茎数が確保できたら田干し・溝切りを実施しましょう。

品種 今後の管理
コシヒカリ 目標茎数(350~380本/m²)を確保するまで水深2~3cmの浅水管理。移植のあきさかりも同様
直播コシヒカリ 水深2~3cmの浅水管理で分げつを促進する。直播栽培は移植に比べ、葉齢が小さく草丈も小さいうちに分げつが増加する性質がある。
ハナエチゼン・あきさかり等 ハナエチゼンは分げつ期に入り葉色もやや濃い。浅水管理に留意し早期に茎を確保する。目標茎数ハナ 400本/m² あき420本/m²
病害虫等 ・毎年ニカメイチュウが多発生している地域では、粒剤は6月10日頃、粉剤は6月15日から20日頃が防除適期。
・除草剤の施用にあたっては、漏水防止の確認。圃場を巡回し早めに散布すること。散布後7日間は落水やかけ流しはしない。

水管理は稲の生育とコントロ―ルする重要な作業

水稲の生育と水管理(コシヒカリ)

生育 時期 水管理
活着期 5月下旬 苗の活着(新根が発生して養分や水を十分に吸収できる状態)には、気温よりも水温の影響が大きく影響。一般的には、低温・強風→深水、晴天・高温→浅水。また、除草剤の効果を安定させるためにも漏水防止に努める。
分げつ期 6月上旬 有効分げつ数を早期確保することがポイント。有効分げつ終止期まで、浅水管理によって水温を高く維持。生育中ワキがでたら落水管理を行う。
最高分げつ期 6月下旬 穂にならない茎(無効分げつ)を抑えることが大事。目標茎数が確保されたら溝切・中干しを行う。
稲の品種と水管理
早生品種はあまり強い中干しを行わない......成長速度、葉色を落とさない
倒伏しやすいコシヒカリは、節間伸長まえから落水......生育制御が重要
晩生品種は茎数過剰と葉の枯上りに注意......細植えや蘇軾深水管理で草型安定
幼穂形成期 7月中旬 幼穂形成期以降は、新しい根が出ない。根をいかに大事にするかがポイント
溝切・中干しによる間断通水の励行
出穂期以降 8月初め~ 間断通水の目的
(1)土壌中の酸化状態を維持
(2)根の老化、下葉枯れを防ぐ
(3)光合成能力の向上
また、一括肥料の成分溶出を安定させるためにも収穫直前までは土の表面が乾き始めたら水をいれる「飽水管理」(常に湿った状態)を行う。
(入水→自然落水→乾く前に入水)
フェ―ンや台風の場合は深水管理を行い乳白米の発生防止に努める。

♦5 【注意】アオミドロ等の緑藻類の発生

アオミドロ等の緑藻類が例年に比べ多く発生しています。移植直後に多発生すると苗のなぎ倒しや水温・地温の低下など生育を抑制します。また、除草剤も効きにくくなります。効果的な対策を行いましょう。

多発生の要因

  1. 地力が高い(土中の有機物やN、Pが多い場合)
  2. 水温が生育に適している(水温が10度を超えると増加、25度でピ―ク)
  3. 日射量が多いと光合成が増加し発生大

対策

  1. 落水し軽い田干しを行う。
  2. 藻類に効果のある農薬を散布する(モゲトン)

アオミドロ発生