いまさら聞けない基本技術をおさらい!農場長が教えるJA花咲ふくい管内の稲作栽培 - 4

いまさら聞けない基本技術をおさらい!農場長が教えるJA花咲ふくい管内の稲作栽培

第4回目

  1. 平成29年7月の気象を振り返る
  2. 稲の生育状況
  3. 8月以降、栽培の管理とポイント
  4. 主な病害虫の発生予報(2017年7月31日発表)
  5. いちほまれの生育状況
  6. いまさら聞けない肥料の話

●1 平成29年7月の気象を振り返る●

気温も高く、日照時間もかなり多いが、降水量は平年並みの気象

6月の平均気温は平年に比べ低く、降水量は少なく推移しました。日照時間は平年に比べ、かなり多くなりました。
7月上旬の平均気温は、平年に比べかなり高く(2.0℃)、日照時間も平年比128%と多かったようです。ただし降水量は平年並みでした。
7月中旬の平均気温も上旬同様かなり高く(2.9℃)、日照時間も平年比172%とかなり多く、こちらも降水量は平年並みでした。
7月下旬の平均気温は平年並で降水量は平年比148%と多く、日照時間は76%と少なかったようです。

●2 稲の生育状況●

◎ハナエチゼン

田植え後の好天により、生育前半は活着良好で、草丈やや長く茎数は多く推移したが6月の低温の影響を受けている(7月13日現在)
草丈67.2㎝で、平年に比べ短い。
茎数は452本/㎡で、平年に比べやや多い。
葉色はやや淡く推移。
5月1日植えの農場の幼穂形成期は6月29日で平年に比べ2~3日程度遅い。
出穂期は7月上中旬の高温・多日照の影響を受け、ほぼ平年(7月18日)並みとなった。

ハナエチゼン圃場

◎コシヒカリ

生育前半、草丈は平年より短く推移、茎数もやや少な目に推移したが、6月中旬以降茎数は増加した。(7月13日現在)
草丈75.8㎝で、平年(73.5㎝)に比べ短い。
茎数は471本/㎡で平年(411本/㎡)に比べ多い。
葉色はやや淡く推移している。
最高分げつ期は、6月29日ごろ。
5月15日植えの農場の幼穂形成期は7月12日で平年に比べ2日程度遅い。
出穂期は、7月上中旬の高温・多日照の影響を受け早まり7月29日ごろとなった。

コシヒカリ圃場

◎直播のコシヒカリ

移植同様草丈は平年より短く、茎数少な目に推移したが6月中旬以降茎数は急激に増加した。(7月13日現在)
草丈は75.2㎝で、平年(78.0cm)に比べ短い。
茎数は634本/㎡で、平年(549本/㎡)に比べ多い。
葉色は移植に比べ濃い。
最高分げつ期は、6月29日ごろとみられる。
5月8日播きコシヒカリの幼穂形成期は、7月14日で平年に比べ早い。
出穂期も7月上中旬の高温・多日照の影響を受け平年に比べ早まり8月5日ごろとなった。

直播コシヒカリ圃場

◎あきさかり

草丈は、生育の始めは平年並みであったが、コシヒカリ同様、低温の影響により生育がやや遅れ短めに推移。(7月13日現在)
草丈は65.4㎝で平年(66.4cm)とほぼ同様。
茎数は481本/㎡で平年(503本/㎡)とほぼ同様。
最高分げつ期は6月29日ごろとみられる。
5月15日植えの農場の幼穂形成期は7月14日で平年同様。
出穂期は、7月上中旬の高温・多日照の影響を受け8月2日ごろとなった。

あきさかり圃場

●3 8月以降、栽培の管理とポイント●

水管理は最後まで!

  • 気温の高い日が続きます。間断通水を収穫まで続け、根の活力維持を図りましょう!
  • 圃場田面の乾き具合は、入水側と排水側両方を確認しましょう!
  • フェーン現象や強風時には深水管理を行いましょう!
  • 早期落水は収量・品質低下の要因となります。

▼米粒の成熟の過程

米粒の成熟の過程の図

▼落水の目安

品種 落水期
ハナエチゼン、コシヒカリ、イクヒカリ、カグラモチ 刈り取り 5~3日前
あきさかり、日本晴、キヌヒカリ、タンチョウモチ 刈り取り 10~7日前

★ポイントはここ

籾水分を測定して適期収穫に備えましょう
出穂期以降の積算温度からの目安

ハナエチゼン 出穂期以降の積算気温 860度 出穂後32日
コシヒカリ 出穂期以降の積算気温 990度 出穂後37日
あきさかり 出穂期以降の積算気温 1060度 出穂後40日

<参考>

  • ハナエチゼン(5月2日植)出穂期:7月17日
    積算860℃に到達する日:8月16日
  • コシヒカリ(5月19日植)出穂期:7月29日
    積算990℃に到達する日:9月4日

上記の積算温度は、平年並みの気温で経過することを前提に算出しています。
今後の気象条件等で変動するので、これを目安に籾水分等を確認して刈取り日を決定しましょう。

●4 主な病害虫の発生予報(2017年7月31日発表)●

病害虫   発生状況と対策
葉いもち葉いもち 発生量 平年、前年より少ない。
対策 発生がみられる圃場では、2回防除を徹底する。
紋枯病 発生量 平年よりやや少なく、前年よりやや多い。
対策 晩生品種、直播田でも8月上旬には防除する。早期に落水すると進展しやすいので、水管理に注意する。直播田は要注意。
斑点米カメムシ類 発生量 平年並み、前年よりやや少ない。
対策 出穂期以降の草刈りはカメムシ類の水田内への侵入を助長するので行わない
カメムシ類は水田の周縁部に多く発生するので、防除の際は畦畔も含めて防除する。
カメムシ類は日中あまり活動しないため、防除は夕方か早朝に散布する。水田雑草が多い水田は、カメムシ類が定着し、斑点米の発生が多くなるので防除を徹底する。

●5 いちほまれの生育状況(2017年7月20日現在)●

坂井農場のいちほまれ(分施)の生育状況は、

  • 草丈76.3㎝でコシヒカリよりも短い。
  • 茎数25.3本/株でコシヒカリとほぼ同等。
  • 葉色は他品種に比べ淡い。
  • 幼穂形成期は7月14日。
  • 7月14日と21日に穂肥を施用しました。
  • 出穂期は8月3日。
いちほまれ圃場

●6 いまさら聞けない肥料の話●

問1 作物に必要な元素の数は、いくつでしょう?

  • A 7
  • B 17
  • C 27

答 Bの17。全部で17元素必要。

17元素の図

問2 17元素のうち多量に必要な元素とは次のうちどれでしょう?

  • A 炭素
  • B 酸素
  • C 水素
  • D 炭素・酸素・水素・窒素・リン酸・カリの6元素

答 D。ただし稲は6元素のほかケイ酸も多量に必要な成分です。

問3 肥料の3大要素はそれぞれ何のことか答えなさい。

答 N=窒素、P=リン酸、K=カリの3つの元素をいいます。
炭素、酸素、水素は天然供給されるがNPK は、土壌への補給を必要とする。補給することで持続可能な農業生産を可能にする。

ポイント
N窒素、Pリン酸、Kカリにはそれぞれ重要な役割がある。

  • N=窒素 主に植物を大きく成長させる役割(葉肥といわれる)
  • P=リン酸 主に開花結実に影響が大きい(花肥、実肥といわれる)
  • K=カリ 根の生育と細胞内の浸透圧調整への影響が大きい(根肥といわれる)

特に、N=窒素の多少が作物の生育に最も影響するため、一般には、N=窒素の施肥量を基準に肥料を利用する。(厳密には施肥量=必要量-土壌等からの供給量)

問4 作物はどのように窒素肥料を吸収するのか答えなさい。

答 稲はアンモニア態窒素から吸収する。
畑作物は硝酸態窒素

作物はどのように窒素肥料を吸収するのか

ポイント
窒素肥料(化学肥料)の種類について
栽培する作物に合わせて使う肥料を選びましょう。

窒素肥料(化学肥料)の種類