いまさら聞けない基本技術をおさらい!農場長が教えるJA花咲ふくい管内の稲作栽培 - 1

いまさら聞けない基本技術をおさらい!農場長が教えるJA花咲ふくい管内の稲作栽培

第1回目

  1. 平成28年度の振り返りと29年度に向けて
  2. 平成29年度坂井農場の取組について
  3. さあ!今年も頑張るぞ 収量構成要素からみた平成28年度の稲作実績から
  4. 技術対策(育苗~田植の時期)
  5. いまさら聞けない除草剤

●1 平成28年度の振り返りと29年度に向けて●

ハナ・コシ・アキ、いずれも良好

平成28年の気象を振り返りますと、稲作期間の前半は高温・多照、8月中旬以降の気温は平年並みに、降水量は少な目に推移しました。作柄はハナエチゼン、コシヒカリ、あきさかりいずれの品種も収量・品質ともに良好の結果でした。

食味ランキングA評価の福井県

平成28年産米の日本穀物検定協会が実施する食味ランキングの福井県産米の評価は、コシヒカリが5年連続の特A、あきさかりが2年連続の特Aを獲得。ハナエチゼンもA´からAとランクアップ! 福井県産米は、一定の評価を得ることができました。

全国における食味ランキングの特Aの数は、40銘柄に達し過去2番目に多いそうです。今後、ますます産地間競争が厳しくなることでしょう。他産地に負けないよう本年もおいしい米づくりを頑張りましょう!

県下でポスこしづくり

平成27年12月以降気温が高く、雪が少ない暖冬傾向となっております。害虫等への越冬に対する影響も心配されます。今年度も全天候に対応した稲作づくりが必要です。

またポストこしひかり「越南291号」については、平成30年度からの本格栽培に向け農場をはじめ県下の各地域で試験栽培いたします。

●2 本年度の坂井農場の取組について●

坂井農場の看板

平成30年のコメ政策転換を見据え、各県では、新品種の育成に取り組んでいます。本県においても、昨年末ポストこしひかりとして「越南291号」を育成しました。坂井農場は平成29年度「花咲ふくい米」の更なるレベルアップと「越南291号」のブランド化を目指し次の事柄に取り組みます。調査結果をもとに稲作情報やホームページなどにより皆様にいろんな情報を提供してまいります。


  1. 花咲ふくい米の品質・食味向上
    食味ランキング特Aの継続獲得をめざし、県と連携し主要品種コシヒカリ、あきさかり、ハナエチゼンの生育実証圃を設置し、気象や生育状況に対応した技術対策情報を提供します。
  2. 越南291号のブランド化
    平成30年度の本格栽培に向け、県等と連携し「越南291号」の肥料試験や技術実証圃を設置します。
  3. 低コストへの取組み
    生産資材の低減化を進めるため、ハナエチゼン・あきさかりを対象に新開発の化成肥料の実証試験を実施します。
  4. こだわり米の推進
    エコファーマー栽培から特別栽培米への技術向上を進めるため、コシヒカリを対象とした新たな資材の試験を実施します。
  5. 水田園芸の取組み
    今後のコメの生産動向を踏まえ、早生の収穫後にキャベツを作付し水田フル活用を目指す実証試験を実施します。

●3 さあ!今年も頑張るぞ●

収量構成要素からみた平成28年度の稲作実績から

収量構成要素

コシヒカリの目標収量構成要素(例 収量520kg/10a)と28年度の実績

区分 収量
(kg)
穂数
(本/m²)
1穂籾数
(粒)
総籾数
(百粒/m²)
登熟歩合
(%)
千粒重
(g)
目標指標 520 380 75 280 85 22.0
28年度の農場実績 554 389 76 296 90 20.8

収量構成要素からみると、昨年は穂数、1穂籾数はほぼねらい通り。また、登熟歩合が高く平成28年度は高収量に結びついたと考えられます。課題は千粒重の低下です。
適正な総籾数を確保し登熟歩合が高くなったことが収量アップにつながりました。平成29年度も秋優り型の稲作りに取り組みましょう!

収量構成要素の語句解説と特徴

項目 語句解説・特徴
穂数 苗質や栽植密度、施肥量の影響を受けるが、分げつ期の環境の影響を強く受ける。特に分げつ最盛期の水管理や日照が重要。
1穂籾数 分化した頴花数と退化した頴花数の差。穂首分化期から頴花分化期は、増加し減数分裂期は退化しやすい。環境と肥料管理が重要。
登熟歩合 総籾数のうち、商品となる粒厚が一定以上の精玄米の割合。低下しやすい時期は減数分裂期、穂揃い期、特に登熟盛期。
玄米千粒重 精玄米千粒の重さ。品種により安定しているが登熟期の天候の影響を受けやすい。

●4 技術対策(育苗〜田植の時期)●

田植日を決めてから播種日、浸種日を決めよう!

作付計画や育苗計画の策定

育苗作業計画の目安

播種量の目安は?薄播(うすまき)の徹底

2016年産の種子の重量は、ハナエチゼン、コシヒカリ、あきさかりのいずれの品種も過去5ケ年間の平均と比較すると、101程度でほぼ同様の傾向となっています。

本年度の播種量の目安は、稚苗箱育苗の場合、箱あたり4600粒播種すると仮定すると

  • ハナエチゼンで135g程度(乾燥籾)
  • コシヒカリ131g程度(乾燥籾)
  • あきさかりで132g程度(乾燥籾)

程度を播種しましょう。ただし適期田植の場合は、10~15%程度増量し、移植作業時に根のマット強度を確保してください。

★ここに注意!

播種量は籾の状態で異なってくるので、それぞれ籾千粒重を実際に測定し、播種量を算出することが望ましい。

育苗期の病害虫発生予報 苗立枯細菌病は「小発、局中発」

福井県農業試験場は3月15日、今年度の病害虫発生予報第1号(3月下旬~4月下旬)を発表しました。水稲関係では苗立枯細菌病の発生程度を「小発、局中発」と予想しています。

小発、局中発...発生面積自体は少ないが、被害程度は局地的に中くらいに発生するという意味

3月の気温、降水量は平年並み。4月の気温は高く、降水量は平年並みと予想されています。育苗ハウスの温湿度管理(夜間5℃以下、昼間25℃以上にならないように管理し、多湿を避ける)に留意し健苗育成に努めてください。

病害虫名 発生時期 被害発生程度 発生量
ばか苗病 最盛期4月下旬 少発 育苗期の発生量は、前年並み
各種苗立枯病
(糸状菌)
初発は4月中旬 少発 平年より少なく、前年並み
苗立枯病
(細菌)
初発は4月下旬 少発、局中発 平年やや多、前年少
苗いもち 初発は5月上旬 少発 平年より多く、前年並み

★ここに注意! 育苗期管理

ハナエチゼン-----5月上旬移植用のハナエチゼンの育苗は、4月の育苗期の気温が低く、さらに日射量が少ないと根張りが悪くなることがあります。このため、気象情報を十分に確かめ、霜が降るような低温が予測される場合は、ストーブ等での保温に努めてください。

コシヒカリ-----5月半ばの適期田植における育苗管理では、低温対策よりも高温対策に重点を置いて管理する必要があります。特に苗の徒長や高温で発生しやすい「苗立枯病」を防ぐため温度管理や水管理に気をつけてください。

本田準備(代掻き)のコツ

掻きは、圃場を田植えできる状態となるように準備することで、圃場の均平化を図る大切な作業です。

  • 漏水を少なくして水持ちを良くする(水持ちを良くすることは、除草剤の効果を高めるためにも必要です)。
  • 雑草を土中に埋め込む等の目的が達成できるようにする。
  • 1回目の代掻き作業は、荒代掻きで砕土を目的に行う。
  • 2回目以降は、均平や稲株、残渣物の埋没を目的として実施する。

★ここに注意!

水の量が多すぎると、圃場の凹凸がわかりにくく均平作業がしにくく、わら等の有機物の鋤き込みが難しくなります。

漏水田は、除草剤の効果も低下します。畔は、モグラ等の穴や崩れがないようしっかり整備し、畔波板や畦畔シートなどを使い漏水を防ぎ除草効果等を高めましょう。

田植え 細植えを徹底しましょう!

田植え時は、1株3〜4本程度とします。
太植えは、過剰分げつになり穂数が増加します。茎が細くなり倒伏しやすく、登熟も低下します。

★ここに注意!

箱施薬の際は除草剤と間違えないよう必ず確認をしてください。
対象病害虫を見極め箱施薬剤を施用してください。
近年は小さなカスミカメムシ類に対する箱施薬剤も開発されています。

育苗箱施薬(除草剤と間違えないよう必ず確認をすること)

●5 いまさら聞けない除草剤●

水稲除草剤にはいろんな種類があります。粒剤、ジャンボ剤、フロアブル剤、豆つぶ剤など様々です。

★除草剤の基本

除草剤には、雑草の出芽を抑える働き(土壌処理効果)と生育している雑草を枯らす働き(茎葉処理効果)があります。

初期除草剤は土壌処理効果が高く、生育が進んだ雑草には効果がありません。後期除草剤は茎葉処理効果が高く、これから出芽する雑草を抑える力はありません。藻に強い除草剤など特徴もさまざまです。

使用にあたっては、除草剤の内容を十分把握して、雑草の多い圃場はうまく組み合わせ体系処理を行いましょう。

例:初期剤+一発処理剤、初期剤+中期剤

初期除草剤(土壌処理剤)

  • 体系処理の初期剤として、雑草の出芽前に使用する。
  • 散布すると土壌表面に除草剤の処理層ができる。
  • 発芽したばかりの雑草が、処理層に触れると、除草剤の影響を受けて出芽できなくなる。既に成長している雑草には効果はない。
  • 除草剤の残効期間は、通常20日程度で、中期除草剤など体系処理が必要。

一発処理剤(茎葉兼土壌処理剤)

  • 移植後からヒエ1から3葉期ごろに使用する除草剤でいくつかの成分が含まれている。
  • 多年生雑草を含め多くの雑草を防除できる。通常30~45日の残効期間があり、水持ちの良い水田であれば、1回の散布で十分な効果が得られる。

中期除草剤(茎葉兼土壌処理剤、ノビエ対象剤、広葉雑草対策剤など)

  • 雑草の生育初期に使用する除草剤で、通常は初期除草剤との体系で使用する。
  • 土壌処理剤と茎葉処理剤が混合されている剤は、生育中の薬剤とこれから出芽する雑草の両方を抑えることができる。

後期除草剤(茎葉処理剤)

  • 初期除草剤、一発処理剤、中期除草剤を処理した後に発生、あるいは残草した雑草を防除するために、水稲の有効分げつ終始期から幼穂形成期までに使用する茎葉処理剤。